青かもしれない五月

よくたどり着いたな

卯月初日のにっき

  

一昨日から唐突にパーマをかけてみたくなり、でもカラーならもう少し安くできるしそもそも似合うのか良く分からないし髪の毛は少し伸ばしたいし、悩みに悩み気づくと時刻は午前二時。

時刻を問わず予約できるホットペッパーは今日も便利だった。それに人と電話ができない今どきのキモオタにとってはめっちゃ助かる。結局パーマとカットで予約した。寝た。

 

美容室に向かう途中の電車で普通に乗り物酔いした。我ながら体が雑魚過ぎて残念な気分になるしレベル3のキャタピーとかといい勝負できそうじゃんって気分にしてくれる小田急電鉄ポケモンの草むらかなんかに思えた。

 

バカなこと考えてたら着いた。自分の見た目が変わっていくのと、カットでアウトラインが綺麗になっていったりするのが見てて楽しいから僕はいつもスマホや雑誌を見ずに鏡ばっか見ている。大抵の美容師さんが沈黙を破ってモニタでNetflixみていいですよ~とか、今おいくつですか~とか言ってくれるんだけど自分の髪の毛切られてるの見るの好きなんだ気まずくさせちゃってごめんな。

初めてのパーマは腐った卵みたいなにおいがした。前髪も巻いてもらい鏡に映る自分が、ジョルノ・ジョバーナかはたまたワンパンマンタツマキみたいでちょっと面白かった。

 

頭を流してもらい鏡の前に腰かけた私は元ジョルノ・ジョバーナの姿を見て率直に陰毛サブカルクソ野郎だと思った。

下北沢のあたりをほっつき回って洋楽なんかスカした感じで聴いてる薄っぺらい個性派大学生って感じだ。事実頭は陰毛と化したしサブカルクソ野郎だし下北には古着を買いに行くし洋楽も好きで聴くので何の否定もしようがない。僕のすべての陰毛サブカルクソ野郎要素がパーマによって顕現したと表現するのが正しいだろう。覚醒(めざ)めちまったな、俺。美容師さんに一切の非はない。

 

まぁ天性のナルシストだもんでこれもこれで割とかっこいいかな、なんて思いながら店を出た。たとえ見た目が陰毛サブカルクソ野郎でも自己肯定感が高いのは我ながら天才だと思う。

 

店という店が閉まってたので致し方なし寄り道せず普通に帰ろうかなと思っていたら宣教師に声を掛けられた。出た。年に数回あるイベント。知らない人に街で声かけられるやつ。他人と比較したことがないのでみんながどのくらいの頻度でこのイベントに遭遇してるのか知らないけど僕の中では割と定期的にある。基本的にそんなに外に出ないので頻度としては結構おかしい気がするがどうなんだろう。

話脱線したわ。

何教だったかもう既に忘れたけどよれた服を着た宣教師のあんちゃんが後ろから声をかけてきた。あんちゃんは「生きてく上で運が必要でそれがどうこう〜」とか、「死んだ先の世界で〜」とか、そんなことをベラベラ語り始めた。

 

結構彼ら宣教師の話を聞くのは楽しい。内容自体はどうでもいいが、相手に言葉を発させない間の取り方や身近な例から本筋に繋げていくトークスキルは聞いていて勉強になる。でもトークスキルなんてそんな無限に披露できるものでもない。そのうち展開が冗長になっていく。話半分に聞いているとはいえ脳みそが次第にバカになってしまうのだ。これも狙いの一つなのかもしれない。

かくして頭の悪くなった僕は退屈に耐えきれず真剣に頭の悪い合いの手を入れ始める。以下、回想。

あんちゃん:(前略)~。実はこのナントカって書には予言が書かれていてね、いや予言というよりは断言しているんだけど、過去にそういう事例があるんだ。お兄さんなら知ってると思うんだけど蒙古襲来って歴史上の事件があってね、それにもこの書が関係しているんだ。実質的に引き起こしたともいえるね。それd

僕(IQ12):えじゃあこいつが黒幕ってことですか

あんちゃん:いや笑笑

 

今こうして文章に起こすとよくわかるけど何が黒幕ってことですかだよお前はチンパンジー

 

あんちゃん:(中略)~。それで人間って死が平等に訪れるじゃないですか。でも死んだ後にも世界があって、行い次第ではまた人間に生まれ変われるんですよ。

僕(IQ3):僕別に来世人間じゃなくてもいいんですけど…

あんちゃん:でも今地球を支配してるのって人間じゃないですか。知識も文明もあって動物とかよりも強いし、だから人間に生まれ変われr

僕(IQ2):あの僕実は来世クラゲになりたいんですよね

あんちゃん:(理解が追い付かない顔)

 

もうこの辺までくるとどっちが真面目でどっちがふざけてるのか分からなくなってくる。

こんな感じで知能の低下した僕とあんちゃんのやり取りはその後もしばらく続いたが、最終的に僕が耐えきれなくなったので強引に切り上げて紙だけ貰って帰宅した。

 

 

僕は暇つぶしにもなるので全然いいんだけどあんちゃんからしたら気が狂った人の相手して時間だけ浪費させられてたまったもんじゃないよね。今後は街で陰毛サブカルクソ野郎を見かけても安易に声掛けちゃだめだよ気を付けてね。忘れるとだめだからその教本にでもメモしとくと良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話戻るけどさ、クラゲ良くないですか。体のほとんどが水分で構成されてて、海をぷかぷか漂う透明に限りなく近い生き物。クラゲ。来世はクラゲになりたい